簡易風洞の製作

風向風速計が正しく動作しているかどうか確認するためには、やはり風洞実験が不可欠です。
測定結果の精度を調べるには、リファレンスとする風速計の精度が保証されていて、風洞そのものも信頼性の高いものが必要と思いますが、想定と大きく違ったことが起きていないか調べる程度なら、簡易な装置でも実験によっていろいろなことがわかると考え、簡易風洞を製作しました。

プラダンをカッターで切って組み合わせ、コーナーをアルミのL材を両面テープと幅広セロテープで止めて箱型の計測部と漏斗状の集風部を製作し、厚紙を切って格子状の整流器を製作しました。
写真の左側が整流器を取り付けた計測部、右側が集風部です。
計測部と集風部をテーブルの上に密着するように置いてテープで固定し、集風部の入り口に大型扇風機をセットして完成です。
扇風機に強中弱のスイッチが付いていますが、細かい風速の調整は扇風機を集風部から遠ざけることで行います。
計測部の上部にアクリルの窓を取り付けて、計測部を上から見下ろすこともできるようにしました。
実験対象の風向風速送信機の計測ユニットを計測部の中に置き、横にリファレンス用のハンドアネモメーターを置いて実験しました。
左の写真は水平に風があたるときのポジションで、ハンドアネモメーターとの比較測定の結果、風速が上がるにつれてやや低い測定結果となることがわかりました。
風はいつも水平に吹くわけではなく、垂直成分を含む上昇風や下降風が吹くこともあるので、計測ユニットを風に対して前後方向に傾けて実験してみました。
左の写真は下降風の条件で実験した様子ですが、下降風のときはリファレンスの風速計の読みと比較して大きな違いは出ませんでした。
左の写真は傾きを逆にして上昇風の条件で実験した様子です。
この条件では、風速が上がるにつれてリファレンス用風速計の読みから大きくはずれて小さな風速が測定されました。
上昇風の条件では、計測ユニットのケースに当たった風が、ちょうどセンサーヘッドのあたりでローターになって渦を巻いているものと想像されます。
パラエリアのTOのように、斜面上昇風が吹いていることの多い場所に設置するためには、ローターの影響を小さくする、なんらかの対策が必要なことがわかりました。

その後、風向風速計の校正を精確に行うため、やや本格的な風洞を建造しました。

超小型の吸出し式エッフェル型風洞です。
風洞の下に手を突っ込んで手動でターンテーブルを回転させることで風向風速計のXY軸方向の校正を素早く行えます。
将来的には校正も自動化したいと考えています。


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