TM1遠隔設置型風向風速計の製作例

TM1は風向風速計ユニットWM5と、電源制御基板(WM4-C)、トランシーバインターフェース基板(WM5-M&WM5-T)を組み合わせた電子回路に、特定小電力トランシーバーと太陽電池パネル、蓄電池を組み合わせた完全自立型の風向風速計で、自動的に風向風速を音声送信します。
太陽電池パネルと蓄電池の容量があまり大きくないので、日が当たって発電が始まると起動し、日が暮れて暗くなると停止するようになっています。蓄電池は雲や木陰で一時的に発電量が低下しても継続動作させるための補助的な電源です。


TM1製作に用いる風向風速計ユニットと回路基板


風向風速計ユニット WM5

トランシーバインターフェース基板 WM5-M&WM5-T

WM5から風向風速データーを読込む機能と電源制御基板WM4-Cをコントロールする機能、トランシーバーの電源やPTTをコントロールしてメモリカードに録音した音声を再生する機能がマイコンにプログラムされています。

プリント基板の配線を直さないと使えないため、販売は見合わせています。

電源制御基板 WM4-C

太陽電池の発電電圧を定電圧化して蓄電池に充電する機能とWM5とトランシーバーインターフェース基板に電源を供給する機能、太陽電池と蓄電池の電圧をモニタリングする機能などを備えています。

WM5-Mと組み合わせなければ使えないため、販売は見合わせています。


製作手順


WM5のVUキャップを外して、呼び径65のTSキャップに付け替えました。

TM1は全体のサイズが大きくなるので、こっちの方がかっこいいかなー、と思っただけで他に意味はありません。

ケーブルアッシーの済んだWM4-C, WM5-M, WM5-T基板です。
WM5-T基板はWM5-M基板の上に亀の子のように乗った形です。

WM5-M基板とWM5-T基板をひっくり返した写真です。
WM5-M基板は何か所か配線の手直しが入っています。
WM5-T基板は配線の直しはないのですが、塩ビパイプに入れてみたらピンジャックコネクタの口がパイプの壁の間近になってしまい、ジャックが挿せなくなってしまったので直にはんだ付けしてあります。

WM4-Cをスペーサー電極にさらにスペーサーを使ってネジ止めしたところです。
レギュレーターに放熱板を付ける必要がありますが、既製品の放熱板で塩ビパイプに収めるのは難しいので、1mm厚のアルミ板を切って作りました。

WM4-Cを止めたスペーサーにさらにWM5-M基板をネジ止めして2階建てにします。
WM5-T基板が乗っているので、全体としては3階建てです。

特定小電力トランシーバーの電源ジャックとマイクジャックに配線してトランシーバーのストラップをスペーサーに取付けます。
右側に下ケースとなる塩ビパイプが見えています。 トランシーバーが納まるのでかなり長い必要があります。
上の写真とは別に組み立てたものなのでマイクジャックへの配線がシールド線でなく撚り線になっていますが、他は同じものです。
このトランシーバーを下部塩ビパイプの中にお尻から入れて、写真では逆さになっているWM5を立てにして塩ビパイプに差し込めば送信機能付きの風向風速計になります。
トランシーバーはパイプの中でぶら下がったような形で納まっています。塩ビパイプの下端は文字通り筒抜けになっていて、トランシーバーの底から5pくらいの余裕を設けてあります。

特定小電力トランシーバー ALINCO DJ-P11

採用したトランシーバーでは、電源ジャックが横に飛び出すので塩ビパイプに入りきらなくなってしまい、電源ジャックのケースを外すことでぎりぎり納まってくれました。
送信機能付き風向風速計をLアングルで作った骨組みに金属バンドで取付け、呼び径100の塩ビパイプで作った電池ケースも取り付けます。
さらに、塩ビパイプで作った電池ケースの下側のキャップが抜けて電池が脱落することを防止する目的で、下側キャップは塩ビパイプにボルトで留めてあります。
下の方に収納前のバッテリーが見えます。また、風向風速計の左にフィルムケースで作った防滴ボックスがインシュロックタイで取り付けられています。
電池ケースにバッテリーを収納します。
バッテリーからの配線は電池ケースの下に空けた穴から引き出すことで防滴性を維持します。

6V鉛電池 WP4-6 (秋月電子通商)
防滴ボックスの蓋を外すと、太陽電池と蓄電池からの配線を中継しているターミナル端子とVDDモニタ用のLEDが載った基板が入っています。
こうすることで、完全にセットアップした状態で太陽電池や蓄電池の配線を外して動作チェックすることができます。
チェックが済んだら抵抗を外すことでLEDを無駄に光らせないようになっています。
配線は蓋の真ん中に穴を開けて通し、逆さに取り付けることで防滴性を維持します。
上の写真ではすでに太陽電池パネルが組みつけられていますが、購入した太陽電池はパネルだけなのでフレームは建材用のアルミフレームを使って取付け用のフレームを自作しました。
左はフレームに太陽電池パネルを取り付けた状態の表側です。

太陽電池パネル1枚では容量が不足すると思われたので、同じものを2枚並列で接続しています。

太陽電池パネル OPL90A44101 2枚 (秋月電子通商)
裏側の写真です。
フレームの分解写真です。
上の写真の状態に対して、パネルの表側を止める小さいL型のアルミ部材を4個追加しました。
Lアングルで作った骨組みに。送信機能付き風向風速計、電池ボックス、太陽電池パネルを組み付けて設置場所にスタンバイしたところです。
斜め前と斜め後ろから撮った写真を並べてあります。
骨組みを仮台からはずして、あらかじめ用意した鉄パイプの先に取り付けました。
鉄パイプの下の方は杭打ちした土台に自在クランプで留めてあるので、ここから「エイヤ!」と一気に立ち上げます。
立ち上げたとき北の方位が合うように鉄パイプへの取付けを調整しておく必要があります。
立ち上げ後に下から見上げた写真です。
太陽電池パネルの裏側が見えています。 太陽電池パネルの後ろに、さらに透明な塩ビ板を取り付けてありますが、これは強風の時に太陽電池パネルが吹き飛ばされてしまうのを防ぐための防風板です。
2分毎に2分間平均風向風速と最大瞬間風向風速を音声放送していますが、同時にDTMFトーンも数値データーとして再生しています。
風向風速音声ガイドの様子を録画してみました。
音声ガイドを受信している無線機の奥の方に無線送信している風向風速計が小さく映っています。
パラグライダースクールの横に立てたポールの先に受信用のトランシーバーを取り付けました。
DTMFトーンを受信してスクールの建屋内に引き込み、インターネットに接続して風向風速データーを配信しています。
残念ながらテイクオフからスクールまでの距離が遠くて見通しもきいていないため、電波が届いたり届かなかったりしています。このため欠測が多く、一日中受信できないようなこともあります。
ポールに取り付ける前の受信用トランシーバーです。
真ん中に小さく見えているのは電圧レギュレータの基板です。
長いインターホンケーブルを使って電源を供給するため、少し高い電圧を送って受信機ケースの中でレギュレートしています。
受信用トランシーバーも塩ビパイプで作った防滴ケースの中に納めています。
受信用トランシーバーから音声信号を受けて元の風向風速データーを再現する装置です。
アクリル板を貼り合わせて作った手製のケースに入れてあります。
昔製作した臨時設置型風向風速送信機のマイコン基板の余りを改造してDTMFデコーダーICを追加し、さらにArduino unoにEthernet shieldを載せてLANに接続しました。
LCDパネルに受信した風向風速を表示し、さらにLANケーブルを通して風向風速情報をネット上にアップロードしています。

後継機のTM2はバッテリーを大型のものに変更し、バッテリーメインで運用するようになっています。
日照の少ない早朝や夕方でも運用できますし、雲が厚いために起動しないということもなくなりました。
タイマーで起動時刻と稼働時間を設定できます。
一日12時間で運用した場合、太陽電池の発電がなくても電池が満タンの状態から三日ほどは稼動できますが、もちろん電池が空になってしまえば稼動できなくなります。
梅雨時などで雨や曇りの日が続くと稼動を停止してしまうので、テストサイトでは電池電圧を監視して、電圧が低下してきたら予備電池と交換するようにしています。
電池電圧は風向風速情報と同様にネットからチェックできます。